2022年2月14日放送のテレビ朝日「報道ステーション」で、北京オリンピックで4回転半ジャンプに挑んだ羽生結弦さんに、元テニス選手でスポーツキャスターの松岡修造さんがインタビューした映像が放送されました。
この記事では、そのインタビュー内容をご紹介します。
羽生結弦×松岡修造 報道ステーションインタビュー内容
――僕らは羽生さんを見ていろんな思いでいるんですよ。認定された4回転アクセル。感動とか、挑み続ける力ってあるわけです。羽生結弦さんは自分で何をこのオリンピックで感じたんだろうなって
(羽生結弦選手)まあ、正直言っちゃえばやっぱり「報われない努力」ってあるなって言うのと、僕は命がけでこのオリンピックという舞台まで本気で練習してきて、命がけで競技をした時に…こうやって出来なかったことに関しては無駄だったなって正直思ってます。悔しいですけどね。
――「努力って報われないんだな」って言われた時、正直すごくつらかったんですよ。そんな言葉出す人じゃないから
(羽生結弦選手)でも絶対信じなかったら命がけでなんて練習できないと思うんですよ。努力できないと思うんですよ。でも僕はそれをやってきたと思えるんですよ。
僕は努力してきたことが結局はできなかったという理不尽にぶち当たってしまいましたけど、絶対に何かしら信じて突き進んできた道は残っているんで、いつか振り返った時に僕自身も含めて無駄じゃなかったって言えたらいいですね。
――ただその努力っていうのは、自分の…言い方は失礼ですけど、命を縮めるようなことをしてきたわけじゃないですか。そこまでかけられるものなんですかこの4回転アクセルって
(羽生結弦選手)うーん。それぐらい僕のすべてだったんですよね。そうじゃないとあそこまでできなかったんですよ。
正直な話、お前死んでもやれよみたいなことをずっと言いながらやってましたけど、回らないんですよ。そんな簡単に。
僕の羽生結弦という、羽生結弦の体で、羽生結弦の理想とする(4回転)アクセルを続けた結果としては、あれが全てだったと僕は思ってます。
まあ最終的にはあそこまで回してくれたのはたくさんサポートを受けて、こんなに幸せな舞台で、オリンピックという最高の舞台で、足首が壊れて…何の因果なのかわからないんですけどショートもうまくいかなくて、(足首に)注射を打ってもらって、感覚がなくなって、それでやっとあそこまでアドレナリンが出て火事場の馬鹿力であそこまでいけたんですよ。
こんなに整った舞台なんてないですよ、僕にとっては。
まあ、これからはどうなるかわからないですけれど、まだ気持ちの整理もついていないですし。
なんか修造さんの前だから余計にいろんなこと、わーって思い出して、わーって言っちゃいますけど。
ただ僕は初めて4回転半の基礎点から減点されたそのジャンプをオリンピックという舞台で出来たということと、僕のプライドを消さないあのアクセルジャンプでそれができたということは、すっごく、ものすごく誇りに思っています。
インタビューを終えての松岡修造さんの言葉
羽生さんの想いが溢れ出たって、僕はそうとりました。
最後に「この北京オリンピックで羽生さんは何を掴んだんですか?」と聞いたんですよ。
「誇り」って彼は言ったんですよ。
ただ僕は、羽生さんは元々「誇り」っていうのは持ってたんだと思うんですね。
今回4回転アクセルってものを成功させるために、死ぬ思いで挑んできました。正しい努力をしてきたと彼は断言しました。しかし全て無駄だったと言ったんです。
僕はこの言葉に大きな衝撃を受けました。結果が伴わなければどんな正しい努力をしても無駄なんだって。
ただ、そこに羽生結弦という人、チャンピオンとしての誇りというものがあるんだなって、そう感じたんですね。
ですから、正直残念な結果だったかもしれませんが、今日話を聞いていて、彼の「怒り」ってのも感じたんですよ。「心の炎」ってのも感じたんですよ。僕はその言葉に誇りを感じたし、これから羽生結弦は、より羽生結弦になっていくとそう信じています。